関東地方には、公益財団法人日本城郭協会が選定した「日本100名城」に含まれる城が数多く存在します。戦国時代の攻防を物語る山城から、江戸時代の政治の中心を担った平城まで、その個性はさまざま。歴史の重みをひしひしと感じながら歩くお城巡りは、旅行初心者の方にも、写真好きの方にも、きっと特別な体験になるはずです。
この記事では、関東地方に点在する日本100名城を、北から南の順に全城ご紹介します。スタンプの設置場所やアクセス情報、各城の見どころもしっかりまとめましたので、百名城スタンプ集めの旅を計画している方や、関東の歴史探訪に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。充実したお城巡りの旅になるよう、細かいポイントまで丁寧に解説していきます。
日本100名城とは
日本100名城は、2006年に公益財団法人日本城郭協会が選定した、全国の代表的な城郭100城のことです。現存する天守を持つ城だけでなく、石垣や土塁が残る山城、復元・整備された城跡も幅広く選ばれており、日本の城郭文化の多様な魅力を伝える選定となっています。各城には専用のスタンプが設置されており、スタンプ帳(公式スタンプ帳は各城や書店で入手可能)にスタンプを集めながら全国を巡る「お城スタンプラリー」として多くの歴史ファンに親しまれています。
関東地方(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川)からは、以下の城が選定されています。それぞれに個性があり、まとめて巡れば関東の歴史が一本の線でつながっていく感覚を味わえるでしょう。
なお、2007年からは「続日本100名城」も選定されており、関東にも多くの続百名城が存在しますが、この記事では「日本100名城」のみを対象としています。
箕輪城(群馬県)

箕輪城 郭馬出西虎口門
箕輪城は、群馬県高崎市に位置する戦国時代の平山城です。長野業正・業盛親子が築いた城として知られ、武田信玄の攻撃に幾度も抵抗したことで歴史に名を刻みます。最終的には武田氏、その後北条氏、徳川氏へと主を変え、井伊直政が城主となったことでも有名です。
城跡は国の史跡に指定されており、深い空堀と大規模な土塁がよく残っています。特に「大堀切」と呼ばれる堀は圧巻の迫力で、往時の縄張りの規模を今に伝えています。現在は城址公園として整備されており、春の桜や秋の紅葉の時期も美しく、歴史散策と自然を同時に楽しめます。スタンプは箕輪城跡休憩室(城跡内)に設置されています。
- 所在地:群馬県高崎市箕郷町西明屋
- スタンプ設置場所:箕輪城跡休憩室(開館時間内)/高崎市箕郷支所(閉館時は外のポスト)
- アクセス:JR高崎駅から群馬バス「箕郷行き」乗車、「箕郷本町」下車、徒歩約20分
- 城番号:日本100名城 No.16
金山城・新田金山城(群馬県)

金山城・新田金山城 大手虎口
金山城(新田金山城)は、群馬県太田市に位置する戦国時代の山城です。標高239mの金山山頂に築かれた城で、新田氏の一族・岩松氏によって15世紀に築城されました。関東七名城のひとつに数えられ、難攻不落の要害として北条氏の猛攻にも長く抵抗した城として知られています。
石垣が良好な状態で残っており、関東の山城の中では石垣遺構が特に充実している点が大きな特徴です。日ノ池や月ノ池といった池の遺構も残り、当時の城の機能をリアルに感じることができます。山頂の本丸跡からは関東平野を一望でき、雄大な眺望も魅力のひとつ。スタンプはふもとの「太田市金山城跡ガイダンス施設」に設置されています。
- 所在地:群馬県太田市金山町
- スタンプ設置場所:太田市金山城跡ガイダンス施設
- アクセス:東武伊勢崎線「太田駅」からタクシー約10分。登山口からは徒歩約30〜40分
- 城番号:日本100名城 No.17
鉢形城(埼玉県)

鉢形城 三の曲輪
鉢形城は、埼玉県大里郡寄居町に位置する戦国時代の平山城です。荒川と深沢川が合流する断崖を天然の要害とした堅固な城で、北条氏邦が拠点としたことで知られています。関東七名城のひとつにも数えられる格式ある城です。
城跡は国の史跡に指定されており、現在は「鉢形城公園」として整備されています。復元された四脚門や石積みの復元整備が進んでおり、当時の城の構造をイメージしやすいのが嬉しいポイントです。隣接する「鉢形城歴史館」では、出土品や城の模型を通じて歴史を詳しく学べます。荒川沿いの自然も美しく、散策にも最適です。スタンプは鉢形城歴史館に設置されています。
- 所在地:埼玉県大里郡寄居町鉢形
- スタンプ設置場所:鉢形城歴史館
- アクセス:東武東上線「寄居駅」から徒歩約15分
- 城番号:日本100名城 No.19
川越城(埼玉県)

川越城 本丸御殿
川越城は、埼玉県川越市に位置する平城で、江戸時代には「川越藩」の藩庁が置かれた重要な城です。1457年に太田道真・道灌父子によって築城され、後に北条氏の支配を経て、江戸時代には幕府の重臣が藩主を務めた格式高い城として栄えました。「小江戸」と称される川越の歴史の核心といえる存在です。
現在残っているのは「本丸御殿」のみですが、これが現存する貴重な遺構として国の重要文化財に指定されています。本丸御殿の内部は公開されており、家老詰所や広間の風情ある空間を見学することができます。城下町として栄えた川越の蔵造りの街並みと合わせて巡ると、歴史の厚みをより深く感じられるでしょう。スタンプは本丸御殿内に設置されています。
- 所在地:埼玉県川越市郭町2丁目
- スタンプ設置場所:川越城本丸御殿(入館料要)
- アクセス:東武東上線・JR川越線「川越駅」からバス「博物館前」下車、徒歩約3分
- 城番号:日本100名城 No.20
忍城(埼玉県)

桜の忍城
忍城は、埼玉県行田市に位置する平城で、豊臣秀吉の小田原征伐の際に石田三成の水攻めに耐えたことで名高い城です。「浮き城」「忍の浮き城」という異名を持ち、当時の地形を生かした堅固な守りで、武蔵・上野・下野の三国にまたがると言われた広大な城域を誇りました。映画・小説「のぼうの城」の舞台としても広く知られています。
現在の三重櫓は1988年に再建されたもので、内部は「行田市郷土博物館」として公開されています。博物館では忍城の歴史や出土品を詳しく学べるほか、城址公園として整備された周辺も散策しやすく整っています。また、行田は「足袋の産地」としても有名で、城巡りと合わせて街歩きも楽しめます。スタンプは行田市郷土博物館に設置されています。
- 所在地:埼玉県行田市本丸
- スタンプ設置場所:行田市郷土博物館(入館料要)
- アクセス:秩父鉄道「行田市駅」から徒歩約15分
- 城番号:日本100名城 No.21
江戸城(東京都)

二重橋
江戸城は、現在の東京都千代田区に位置する、日本最大規模を誇った城です。1457年に太田道灌が築城し、その後徳川家康が関東入府の際に大改修を実施。徳川幕府の拠点として約260年にわたり日本の政治の中心地となりました。現在は皇居として利用されており、東御苑の一般公開エリアで遺構を見学することができます。
天守は1657年の明暦の大火で焼失して以来再建されず、現在は天守台の石垣のみが残ります。東御苑では本丸・二の丸・三の丸のエリアを無料で見学でき、大きな石垣や富士見櫓、同心番所などが現存しています。都心のど真ん中で400年以上の歴史に触れられる貴重なスポットです。スタンプは大手門・平川門・北桔橋門の各入口で受け取れます。
- 所在地:東京都千代田区千代田
- スタンプ設置場所:大手門休憩所・平川門・北桔橋門(東御苑開園時間内、月・金休)
- アクセス:東京メトロ「大手町駅」から徒歩約5分(大手門)
- 城番号:日本100名城 No.23
八王子城(東京都)

八王子城 御主殿跡より曳橋
八王子城は、東京都八王子市に位置する戦国時代の山城です。北条氏照によって築かれた関東随一の山城で、1590年の豊臣秀吉による小田原征伐の際、前田利家・上杉景勝連合軍に攻め落とされました。落城の際には多くの人命が失われ、その悲話とともに語り継がれています。
城跡は国の史跡に指定されており、深い山中に石垣や曲輪の遺構が随所に残っています。整備されたハイキングコースを登りながら遺構を巡ることができ、自然の中で歴史探訪を楽しめるのが魅力です。山頂の本丸からの眺望も素晴らしく、晴れた日には都心方面まで見渡せます。スタンプは麓のガイダンス施設に設置されています。
- 所在地:東京都八王子市元八王子町
- スタンプ設置場所:八王子城跡ガイダンス施設(月曜休)
- アクセス:JR中央線「高尾駅」北口からバス「霊園前・八王子城跡入口」下車、徒歩約15分
- 城番号:日本100名城 No.24
小田原城(神奈川県)
小田原城は、神奈川県小田原市に位置する平山城で、戦国時代に北条氏の本拠として関東支配の中心となった名城です。難攻不落の城として名高く、武田信玄・上杉謙信といった名将たちの攻撃も退けました。1590年、豊臣秀吉の大軍による包囲(小田原の役)によって北条氏は降伏し、関東における戦国時代の終焉を迎えます。
現在の天守は1960年に外観復元されたもので、内部は歴史博物館として公開されています。天守からは相模湾や箱根山系を望む絶景が広がり、写真スポットとしても人気があります。城址は「小田原城址公園」として整備されており、春の桜の名所としても名高く、季節を選ばず楽しめる観光地です。スタンプは天守閣入口に設置されています。
- 所在地:神奈川県小田原市城内
- スタンプ設置場所:天守閣入口(入館料要)
- アクセス:JR・小田急「小田原駅」から徒歩約10分
- 城番号:日本100名城 No.23(※江戸城はNo.23、小田原城はNo.27)
水戸城(茨城県)

水戸城大手門
水戸城は、茨城県水戸市に位置する平山城で、常陸国の中心として栄えた城です。戦国時代には江戸氏、佐竹氏が拠点とし、江戸時代には徳川御三家のひとつ「水戸徳川家」の居城として、水戸藩の政治・文化の中心地となりました。徳川光圀(水戸黄門)や徳川斉昭といった名だたる人物を輩出した藩の城としても知られています。
明治以降に多くの建物が解体されてしまいましたが、2019年には木造で三階三重の「大手門」が復元され、城の往時の姿が少しずつ蘇っています。2021年には「二の丸角櫓」も復元され、整備が進んでいます。現在も堀や土塁が良好に残っており、弘道館(国の特別史跡)とセットで訪れると水戸の歴史をより深く体感できます。スタンプは弘道館に設置されています。
- 所在地:茨城県水戸市三の丸
- スタンプ設置場所:弘道館(入館料要)
- アクセス:JR常磐線「水戸駅」から徒歩約10分
- 城番号:日本100名城 No.12
足利氏館(栃木県)

桜咲く足利氏館(鑁阿寺)の鐘楼
足利氏館は、栃木県足利市に位置する平城(館)で、鎌倉時代に足利氏の本拠として使用されたとされる重要な史跡です。室町幕府を開いた足利尊氏の祖先・足利義兼がこの地に居館を構えたと伝わり、日本の武家政治の発祥に深く関わる場所として高い歴史的価値を持ちます。
現在は「鑁阿寺(ばんなじ)」という寺院となっており、境内に中世の館の土塁と堀が四方をぐるりと囲むように残っています。国の史跡に指定されており、本堂は国宝にも指定されています。境内の大銀杏は秋に美しく色づき、歴史と自然が融合した風情ある空間を楽しめます。足利学校などと合わせて市内を巡るとより充実した旅になります。スタンプは鑁阿寺境内に設置されています。
- 所在地:栃木県足利市家富町
- スタンプ設置場所:鑁阿寺境内(受付時間内)
- アクセス:JR両毛線「足利駅」から徒歩約10分
- 城番号:日本100名城 No.16(※箕輪城と混同注意:足利氏館はNo.16、箕輪城はNo.17)
佐倉城(千葉県)

ひよどり坂
佐倉城は、千葉県佐倉市に位置する平山城で、江戸時代に譜代大名の居城として栄えた城です。17世紀初頭に土井利勝によって築かれ、以後佐倉藩の藩庁として機能しました。江戸への物資供給と防衛の要として重視されており、堀田正睦のもとで開国・外交政策の一端を担った歴史的にも重要な藩です。
天守は明治初年に取り壊されており現存しませんが、城址は「佐倉城址公園」として整備され、土塁・空堀・馬出しといった遺構が良好に残っています。園内には「国立歴史民俗博物館」が隣接しており、日本の歴史を総合的に学べる充実した施設です。桜の名所としても知られ、春は花見客で賑わいます。スタンプは佐倉城址公園管理棟に設置されています。
- 所在地:千葉県佐倉市城内町
- スタンプ設置場所:佐倉城址公園管理棟
- アクセス:京成本線「京成佐倉駅」から徒歩約15分
- 城番号:日本100名城 No.22
関東の百名城 スタンプ巡りのコツと注意点
関東の百名城を効率よく巡るためには、いくつかのポイントを押さえておくと便利です。まず、スタンプの設置場所と開館・受付時間は城によって異なります。休館日(月曜日が多い)や季節による開館時間の変動があるため、訪問前に公式サイトや電話で必ず確認することをおすすめします。特に山城(八王子城・金山城・唐沢山城・箕輪城など)は天候によって登山道のコンディションが変わるため、雨天時や積雪期は十分に注意してください。
スタンプ帳は各城の売店や書店、Amazonなどで購入できます。公式スタンプ帳(日本城郭協会発行)を使うと、スタンプを押した際に認定証の申請が可能になります。100城すべてのスタンプを集めると「100名城登城達成認定証」が発行されます(有料)。関東の百名城は都市部にもアクセスしやすい城が多いため、電車で巡れる城も多く、旅行初心者の方にも取り組みやすいのが魅力です。




