二十四節気と七十二候|旧暦を楽しむ

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歴史・和歌
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日本には春夏秋冬の四季がありますが、さらに細かく分けた二十四節気と七十二候というものがあります。季節の移ろいを細やかに感じ取ることで、日々の暮らしがより豊かになるに違いありません。今回はその時季折々の事柄や言葉も交えて紹介します。

二十四節気日付七十二候説明
立春(りっしゅん)
寒さも峠を越え、春の気配が感じられる
2/4~8頃東風解凍
(とうふうこおりをとく)
暖かい春風(東風)が川や湖の氷を解かす
2/9~13頃黄鶯見睆
(うぐいすなく)
ウグイスが鳴き始める
2/14~18頃魚氷上
(うおこおりにあがる)
暖かくなって湖の氷が割れ、魚が飛び出す
雨水(うすい)
雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる
2/19~23頃土脉潤起
(つちのしょううるおいおこる)
土が春の雨で潤い出す
2/24~28頃霞始靆
(かすみはじめてたなびく)
春霞がたなびき始める
3/1~5頃草木萌動
(そうもくめばえうごく)
草木が芽吹き始める
啓蟄(けいちつ)
冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる
3/6~10頃蟄虫啓戸
(すごもりむしとをひらく)
冬ごもりの虫が土から出てくる
3/11~15頃桃始笑
(ももはじめてわらう)
桃の花が咲き始める
3/16~20頃菜虫化蝶
(なむしちょうとかす)
さなぎが羽化し蝶になる
春分(しゅんぶん)
太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる
3/21~25頃雀始巣
(すずめはじめてすくう)
雀が巣をつくり始める
3/26~30頃
桜始開
(さくらはじめてひらく)
桜の花が咲き始める
3/31~4/4頃
雷乃発声
(かみなりすなわちこえをはっす)
春の雷が鳴り始める
清明(せいめい)
すべてのものが生き生きとして、清らかに見える
4/5~9頃
玄鳥至
(つばめいたる)
ツバメが南から飛来する
4/10~14頃
鴻雁北
(がんかえる)
暖かくなり雁が北へ渡去する
4/15~19頃
虹始見
(にじはじめてあらわる)
虹が見え始める
穀雨(こくう)
穀物をうるおす春雨が降る
4/20~24頃
葭始生
(あしはじめてしょうず)
水辺の葦が芽吹き始める
4/25~29頃
霜止出苗
(しもやみてなえいずる)
霜がとれ稲の苗が育つ
4/30~5/4頃
牡丹華
(ぼたんはなさく)
牡丹の花が咲き始める

春一番

立春を過ぎて初めて吹く暖かい南よりの強い風のことを言います。実はこの言葉のルーツは壱岐にあり、江戸時代に漁師たちが呼んでいた風の名前が発祥です。

花曇り

桜の花が咲く時期の曇った天気を表します。冬の渡り鳥が北に帰る時季でもあるので、「鳥曇り」とも言います。

鶯(うぐいす)

ホーホケキョと鳴く鶯は「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれ、春を告げる鳥として親しまれてきました。ホーホケキョと鳴き始めるのは、早いところでは2月くらいからで、4月には山に帰って行きます。登山をする人なら夏でも山でその鳴き声を聞くことができます。

二十四節気日付七十二候説明
立夏(りっか)
夏の気配が感じられる
5/5~9頃蛙始鳴
(かえるはじめてなく)
蛙が鳴き始める
5/10~14頃蚯蚓出
(みみずいずる)
ミミズが地上に這い出る
5/15~20頃竹笋生
(たけのこしょうず)
竹の子が生え始める
小満(しょうまん)
すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める
5/21~25頃蚕起食桑
(かいこおきてくわをはむ)
蚕が盛んに桑の葉を食べ始める
5/26~30頃紅花栄
(べにばなさかう)
紅花が盛んに咲く
5/31~6/5頃麦秋生
(ばくしゅういたる)
麦が熟して畑は黄金色になる
芒種(ぼうしゅ)
稲などの(芒のある)穀物を植える
6/6~10頃蟷螂生
(かまきりしょうず)
カマキリが生まれる
6/11~15頃腐草為螢
(くされたるくさほたるとなる)
草の中からホタルが現れ飛び交う
6/16~20頃梅子黄
(うめのみきばむ)
梅の実が黄色く熟す
夏至(げし)
昼の長さが最も長くなる
6/21~26頃乃東枯
(なつかれくさかるる)
ウツボグサが枯れだす
6/27~7/1頃菖蒲華
(あやめはなさく)
アヤメが咲き始める
7/2~6頃半夏生
(はんげしょうず)
カラスビシャクが生え始める
小暑(しょうしょ)
暑気に入り梅雨が明けるころ
7/7~11頃温風至
(おんぷういたる)
夏の温かい風が吹き始める
7/12~16頃蓮始華
(はすはじめてひらく)
ハスの花が咲き始める
7/17~22頃鷹乃学習
(たかすなわちわざをならう)
鷹の雛が飛び方を覚える
大暑(たいしょ)
夏の暑さが最も厳しい
7/23~27頃桐始結花
(きりはじめてはなをむすぶ)
桐の花が実を結ぶ
7/28~8/1頃土潤溽暑
(つちうるおいてむしあつし)
土が湿り蒸し暑くなる
8/2~6頃
大雨時行
(たいうときどきふる)
大雨が時に降る

鯉のぼり

5月5日は端午の節句です。鯉が滝を上って龍になるという中国の故事にちなんで、江戸時代に男の子の立身出世を願って飾ったのが始まりとされています。その他にも、菖蒲湯に入ったり、五月人形で健やかな成長を祈ったりといった昔ながらの風習が今も残っています。

旅の日

5月16日(旧暦で3月27日)を、松尾芭蕉が『おくのほそ道』に旅立ったとされる日として、日本旅のペンクラブが旅の日に制定しています。

蝉時雨(せみしぐれ)

たくさんの蝉が一斉に鳴きたてる様子を時雨の音にたとえていう語です。夏になると、あぶらぜみ・みんみんぜみ・ひぐらしなどが鳴き始め、夏の終わりにはつくつくぼうしがその鳴き声を響かせます。

二十四節気日付七十二候説明
立秋(りっしゅう)
秋の気配が感じられる
8/7~12頃涼風至
(りょうふういたる)
涼しい風が立ち始める
8/13~17頃寒蝉鳴
(ひぐらしなく)
ヒグラシが鳴き始める
8/18~22頃蒙霧升降
(ふかききりまとう)
深い霧が立ち込め始める
処暑(しょしょ)
暑さがおさまる
8/23~27頃綿柎開
(わたのはなしべひらく)
ワタの萼が開き始める
8/28~9/1頃天地始粛
(てんちはじめてさむし)
暑さがようやくおさまる
9/2~7頃禾乃登
(こくものすなわちみのる)
稲が成り稲穂が垂れる
白露(はくろ)
秋めいて、しらつゆが草に宿る
9/8~12頃草露白
(くさのつゆしろし)
草の露が白く光って見える
9/13~17頃鶺鴒鳴
(せきれいなく)
セキレイが鳴き始める
9/18~22頃玄鳥去
(つばめさる)
ツバメが南に帰る
秋分(しゅうぶん)
秋の彼岸の中日、昼夜がほぼ等しくなる
9/23~27頃雷乃収声
(かみなりすなわちこえをおさむ)
雷鳴が聞こえなくなる
9/28~10/2頃蟄虫坏戸
(すごもりのむしとをとざす)
虫が土の中に隠れて戸をふさぐ
10/3~7頃水始涸
(みずはじめてかるる)
水田の水が抜かれる
寒露(かんろ)
秋が深まり野草に冷たい露がむすぶ
10/8~12頃鴻雁来
(がんきたる)
雁が渡来し始める
10/13~17頃菊花開
(きくはなひらく)
菊の花が咲き始める
10/18~22頃蟋蟀在戸
(きりぎりすとにあり)
キリギリスが家の中で鳴き始める
霜降(そうこう)
霜が降りる
10/23~27頃霜始降
(しもはじめてふる)
霜が降り始める
10/28~11/1頃霎時施
(しぐれときどきほどこす)
小雨がしとしと降るようになる
11/2~6頃楓蔦黄
(もみじつたきばむ)
もみじや蔦の紅葉が始まる

小春日和

晩秋から初冬の頃の、春のように穏やかで暖かな天気のことです。 春という言葉が使われていますが、「小春」は秋の季語です。山口百恵さんの『秋桜』の歌詞にも出てきます。小春日和が続くと春と勘違いした春の花が咲き出すことがあります。これを「返り花」や「忘れ花」、「狂い咲き」などと言います。

秋の七草

萩・すすき・くず・なでしこ・おみなえし・藤袴ふじばかま桔梗ききょうが秋の七草です。春の七草はおかゆにしますが、秋の七草は目で見て楽しみます。旧暦の秋(7〜9月)ですので、今の季節で言うと夏から咲き始めます。秋の七草は『万葉集』にある山上憶良の歌が元になっていると言われています。

秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七草の花

山上憶良『万葉集』

萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) 

また藤袴 朝貌の花

山上憶良『万葉集』

山粧う

秋の山が紅葉することよそおを言います。春の山が一斉に芽吹く様子は山笑う、夏の山の青々としているさまはしたた、木が枯れて寂しさを感じる冬の山は山眠る、木々の一年の移り変わりを表す言葉です。

二十四節気日付七十二候説明
立冬(りっとう)
冬の気配が感じられる
11/7~11頃山茶始開
(つばきはじめてひらく)
サザンカの花が咲き始める
11/12~/16頃地始凍
(ちはじめてこおる)
大地が凍り始める
11/17~21頃金盞香
(きんせんかさく)
水仙の花が咲き始める
小雪(しょうせつ)
雪が降り出す
11/22~27頃虹蔵不見
(にじかくれてみえず)
虹が見られなくなる
11/28~12/2頃朔風払葉
(さくふうはをはらう)
北風が木々の葉を払い落とす
12/3~6頃橘始黄
(たちばなはじめてきなり)
橘の実が黄色く色づき始める
大雪(たいせつ)
雪がいよいよ降りつもってくる
12/7~11頃閉塞成冬
(そらさむくふゆとなる)
天地が寒がり真冬になる
12/12~15頃熊蟄穴
(くまあなにこもる)
熊が冬眠のために穴に篭る
12/16~21頃鱖魚群
(さけのうおむらがる)
鮭が群がり川を上る
冬至(とうじ)
昼が一年中で一番短くなる
12/22~26頃乃東生
(なつかれくさしょうず)
ウツボグサが芽を出す
12/27~31頃麋角解
(さわしかのつのおつる)
大鹿の角が落ちる
1/1~5頃雪下出麦
(ゆきわたりてむぎのびる)
降り積もる雪の下で麦が芽を出す
小寒(しょうかん)
本格的に寒くなり出す
1/6~9頃芹乃栄
(せりすなわちさかう)
セリがよく育つ
1/10~14頃水泉動
(すいせんうごく)
凍っていた泉が動き始める
1/15~19頃雉始雊
(きじはじめてなく)
オスのキジが鳴き始める
大寒(だいかん)
寒さが最も嚴しくなる
1/20~24頃款冬華
(ふきのとうはなさく)
蕗の花が咲き始める
1/25~29頃水沢腹堅
(さわみずこおりつめる)
沢の水が氷り厚く張る
1/30~2/3頃鶏始乳
(にわとりはじめてにゅうす)
鶏が卵を産み始める

木枯らし

初冬に吹く北よりの強い風のことを言い、その年最初の木枯らしを「木枯らし1号」と呼びます。

寒の入り

「小寒」の初日を寒の入りと言います。一年で最も寒くなる時期です。

春の七草

せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろが春の七草です。健康と豊作を願い、1月7日に七草粥にして食します。

まとめ

こうしてみると、七十二候には虹始見(にじはじめてあらわる)と虹蔵不見(にじかくれてみえず)や、鴻雁来(がんきたる)と鴻雁北(がんかえる)など対になっているものもあります。

カレンダーや時計など私たちは常に計られた時間の中にいますが、時には自然の中に身を置き、草花の成長や鳥の鳴き声で季節の移ろいを肌で感じてみるのも良いでしょう。きっと日々の生活がより豊かになるに違いありません。

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