長い冬も明け、日中の暖かさを感じるようになった頃、桜の開花が始まります。巷では、2月1日以降の平均気温の合計が400℃を超えると桜が開花するという通説もあり、これは「400℃の法則」とも呼ばれています。昨今の温暖化影響から年々早まっている桜の開花時期ですが、その美しさは毎年不変です。そんな春を感じる桜の絶景スポットを、今回は関東近辺に絞ってご紹介します。手軽に行けるような場所ばかりなので、春先のお出かけの参考にぜひご覧ください。
幸手権現堂桜堤(埼玉県)
関東地方を代表する桜の名所である権現堂では、堤防上に約1kmもの桜並木が続きます。堤防の上には歩道が整備されているので、桜のトンネルを歩きながらお花見ができます。桜が咲く時期には、屋台や飲食店も出店するなど、春の賑わいを感じられる場所になります。
関東有数の桜名所であることから、最盛期には非常に多くの観光客が訪れます。駐車場は、権現堂の北西側に広大な敷地が用意されていますが、満車になることも多く、朝早めに訪れるのがおすすめです。
また権現堂は、桜はもちろんですが、初夏の紫陽花や秋の彼岸花など四季折々の景色を楽しめる場所としても知られており、季節によって違った絶景を見ることができます。
目黒川(東京都)
都内中心部の目黒川沿いには、毎年800本の桜が咲き誇ります。川の両岸が長い桜並木となっており、またその川幅が比較的狭いことから、密度の高い桜絶景を見ることができる場所です。特に夜のライトアップには多くの人が訪れ、より一層の賑わいを見せます。周囲にはカフェや飲食店が立ち並び、おしゃれな雰囲気を感じることができます。
周囲がビルに取り囲まれる都心で、桜をこれだけの規模で見られる場所はほとんどなく、その対比は見事です。住民の憩いの場ともなっており、目黒地区のランドマークとしてその名が知られています。
昭和記念公園(東京都)
東京都立川駅から徒歩で約20分ほどのところにある国営昭和記念公園には、ソメイヨシノを中心に約1,500本ものサクラが植えられており、お花見に最適な場所となっています。特に「桜の園」や花木園の中にある「旧桜の園」は人気スポットです。 公園の広さは東京ドーム約39個分ととても広く、園内に長さ14kmのサイクリングコースもあるため、持ち込みの自転車やレンタサイクルで周るのがおすすめです。
お花見以外にも「水鳥の池」でボート漕ぎを楽しんだり、「みんなの原っぱ」でのんびりピクニックをしたりなど、一人でも家族でも楽しむことができます。都内にあるとは思えないほど自然豊かな公園ですので、ぜひ訪れてみてください。
六義園(東京都)
六義園は、国の特別名勝にも指定されている日本庭園です。その広大な敷地で最も目立つのは、庭園入口付近にあるしだれ桜の巨木です。春先には、このしだれ桜を一目見ようと、全国から観光客が集まります。青空に映える日中の姿も美しいですが、夜のライトアップに浮かび上がる姿もまた見事です。
また大名庭園の中でも屈指の規模を誇る六義園は、ツツジや紅葉の名所としても知られており、都内のオアシスとして人々から慕われています。
付近には駐車場等はありませんので、鉄道等の公共交通機関で訪れるのがおすすめです。園内の他の桜よりも咲く時期が少し早めなので、開花状況をHP等でチェックした上で予定を立てるようにしましょう。
千鳥ヶ淵(東京都)
千鳥ヶ淵も、言わずと知れた関東を代表する桜名所の一つです。皇居の北西側にあるお堀とその周辺のことを指し、まさに日本の中心部と言える場所になります。桜の季節になると、お堀周辺の桜が咲き誇り、皇居周辺に彩りを添えます。敷地内はボートで水上からお花見もできるようになっており、様々な楽しみ方ができます。また千鳥ヶ淵も夜はライトアップされ、東京タワーや高層ビルの灯りとともに撮影することもできます。
なおちょうど桜が咲く頃は、周辺大学の卒業式が日本武道館で執り行われる時期とも被るため、節目の景色と捉えることができそうです。
赤城南面千本桜(群馬県)
赤城南面と称するように、赤城山の南麓に位置する赤城南面千本桜は、桜景色の見事な場所として知られいます。毎年桜の時期には、群馬県内外から多くのお花見客が訪れます。菜の花と桜の組み合わせは、彩り豊かで、訪れる人の心を惹く絶景を感じることができます。さくら名所ランキングにも度々ランクインするなど、その美しさはお墨付きです。斜面に咲き誇る桜並木は、立体的で写真を撮るにもおすすめな場所です。
さきたま古墳群(埼玉県)
大規模な古墳が点在するさきたま古墳群ですが、その中でも、丸墓山古墳周辺には数多くの桜が植えられており、その景色を楽しむことができます。古墳の頂上にも桜の木が植えられているため、古墳ならではのスケール感のある桜絶景を見られるのが特徴です。また古墳斜面には菜の花も植えられ、春を感じるには最適な場所です。古墳頂上から見る景色もまた見事で、桜越しに関東平野を360°一望できます。
さきたま古墳群から数キロ離れたところには忍城があります。こちらも桜の名所として知られており、お堀沿いに咲く桜は見事です。咲く時期もほとんど同時なのでセットで訪問するのがおすすめです。
奥多摩湖(東京都)
東京都の最深部である奥多摩には、東京の水源とも呼ばれる壮大な湖があります。別名を小河内貯水池と呼ばれる奥多摩湖は四季折々の景色を楽しめる東京のオアシスとしても親しまれている場所です。その中でも特に桜の時期には多くの観光客を呼び込みます。広大な湖の畔にはソメイヨシノをはじめ、ヤマザクラなど色とりどりの桜が咲き誇るのが特徴です。ハイキングコースも整備されており、体力に自信のある人は、ゆっくりと散策してみるのも楽しいと思われます。
湖畔には駐車場も幾つか用意されていますが、トンネルを抜けた先にある大麦代園地駐車場は敷地も広く、観光の拠点としていちばんおすすめです。
都内から多摩川沿いに標高を上げていくため、見頃の時期は都内より数週間遅れます。開花の時期はチェックした上で訪れるようにしましょう。また都内よりも肌寒いことが多いため、残雪状況や服装にも注意しましょう。
小湊鉄道(千葉県)
いすみ鉄道と並んで、千葉県内のローカル鉄道の一役を担っているのが小湊鉄道です。千葉県中心部を縦断するように走る路線は、その昔ながらの鉄道風景の雰囲気が買われて、さまざまなCM、ドラマや映画のロケ地にも選ばれています。春先には、沿線に菜の花や桜が咲き誇り、乗客の目をさらに楽しませてくれます。首都圏とは思えないほどの、長閑な鉄道風景を感じることができ、ロケ地として登場するのも納得の景色です。
沿線には数多くの撮影スポットがありますが、ローカル線であるが故に、運行本数は限られています。時刻表等で事前に確認した上で、撮影計画を立てましょう。また鉄道区域への無断立入が大きな問題となっていますので、鉄道運行に支障のない範囲で撮影を楽しみましょう。
鑁阿寺(栃木県)
歴史のある街として知られている足利市の象徴たるお寺がこの鑁阿寺です。元々は足利氏の館であった名残から、周囲はお堀に囲まれており、武家屋敷の面影を感じることができます。春の時期、橋を渡り、そのお堀の内側へ入ると、歴史的建造物とともに、境内の桜が彩りよく咲き誇っている様子を見ることができます。特に多宝塔と桜の組み合わせは見事で、素晴らしい調和が絶景を生み出します。また鑁阿寺の本堂は国宝に指定されており、重厚な建物は歴史の重みを感じます。
また鑁阿寺は、秋の紅葉の時期も見事です。大銀杏をはじめ、赤や黄色の色合いも見事で、桜の景色にも負けず劣らずの絶景を見られます。
なお歩いてすぐ横には、日本最古の学校たる足利学校も史跡として残っています。セットで観光することとで、足利の歴史にも造詣を深めることができます。
雨引観音(茨城県)
雨引山楽法寺、別名甘引観音は筑波山から真北に20キロほど離れて位置の小高い山の上に建っています。歴史も深く、587年に開山したと伝えられる古刹です。安産子育ての霊場としても広く知られている関東屈指のお寺になります。春の桜の時期は見事で、仁王門取り囲むように桜が咲き誇ります。また天気の良い日には南方に筑波山を望むことができ、その美しいシルエットと桜の対比は見事です。
紫陽花の名所としても知られ、季節折々の絶景風景を楽しむことができる場所です。境内には、放し飼いされている孔雀も見られるなど、桜と一緒に愛でながら散策するのがおすすめです。
甘引観音までの道路は急坂で狭いところもあるので注意が必要です。急坂を抜けたところに駐車場があります。なお甘引観音に限らず、筑波山周辺には桜絶景スポットがたくさんあります。周囲をドライブやサイクリングで巡ってみるだけでも楽しいかもしれません。