【おくのほそ道】松尾芭蕉と巡る絶景旅(後編) 現代語訳や俳句解説も!|奥の細道|ルート紹介

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天下の険 親不知にて
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 長きにわたる『おくのほそ道』の旅も後半戦に入ります。出羽路〜北陸路を経て、結びの地である大垣を目指します。立石寺への立ち寄りが済むと、奥の細道はいよいよ日本海側を南下していく行程・ルートになっていきます。

奥の細道のルート紹介前半記事はこちら

山形県 最上川

五月雨を あつめて早し 最上川

立石寺に寄り道をした分の日程を取り戻すべく旅路を進め、最上川の舟屋に到着します。日本最大急流の一つである最上川の水流豊かな様子を表現したこの句は、おくのほそ道を代表すると言われるほどの名句です。なお芭蕉は実際には、最上川の川下りのなかで、その急流を改めて実感し、先に詠んだ「あつめて涼し」を「あつめて早し」に改めて詠み直したと言われています。この場所で、地元の俳人たちとも心を寄せ合い、芭蕉は「このたびの風流、ここに至れり」と満足げな様子も見受けられます。

山形県 出羽三山

涼しさや ほの三か月の 羽黒山

最上川の川下りを終えた芭蕉が目指したのは、山岳信仰の霊山”出羽三山”です。月山、羽黒山、湯殿山で構成される出羽三山を、芭蕉は一泊二日で回り切ったようです。三山の中心である羽黒山は、当時多くの巡礼客が訪れており、相当な賑わいを見せていました。山道を辿って羽黒山に到着した芭蕉は、その山道に連なる杉並木の様子に涼しさを覚え、この句を詠んだと言われています。霊域の尊さをも感じさせるこの句は芭蕉の表現力の高さが表れています。

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秋田県 象潟(九十九島)

象潟や 雨に西施が ねぶの花

羽黒山を立ち、鶴岡、酒田にて歌仙を興行したのち、この旅の目的の一つとしていた象潟を訪れました。当時象潟は、松島と並ぶ多島美の景勝地として知られていました。象潟の蚶満寺にて、鳥海山と多島美を一望し、芭蕉は、太平洋側の松島と比較するように「松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし」と両者の違いを書き記しました。

石川県 那谷寺

石山の 石より白し 秋の風

日本海を右手に眺めながら、親不知や倶利伽羅峠を越え、北陸路の旅程も後半に差し掛かります。芭蕉は、小松へ行く途中で那谷寺を訪れることになります。奇岩の名所として知られる那谷寺の奇岩遊仙境、その灰白色の岩肌を臨んで「石山の石より白し」と表現しています。ここでいう石山は、紫式部ゆかりの石山寺(滋賀県)のことを指しており、芭蕉自身も石山寺へ滞在したことがあると言われています。秋の風を白いと表現する独特の感性には、どこか物寂しさを感じさせる奥ゆかしさがあります。

福井県 敦賀(氣比神宮)

月清し 遊行のもてる 砂の上

敦賀の中心部に位置する氣比神宮、芭蕉はここへ夜遅くたどり着くことになります。「氣比神宮には輝く白砂が敷き詰められている」という伝聞を受けていた芭蕉は、その美しさへの期待大きく、ついたその夜に氣比神宮を参詣します。月の美しい夜に、月光に照らされて輝く白砂の清らかさを表現した俳句が有名です。

滋賀県 大垣

蛤の ふたみにわかれ 行秋ぞ

敦賀から歩みを進めること6日ほど、芭蕉はおくのほそ道の結びの地である大垣に入ります。大垣では、曾良をはじめとした門弟たちに囲まれ、長かった旅の疲れを癒しました。旅の締めくくりとして、紀行の最後に記したのがこの句になります。

まとめ

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大垣に到着し、長旅のルートが完結した直後、芭蕉はすぐ次の旅に出て行くことになります。冒頭で「日々旅にして、旅を栖とす」と記したように、旅と共に人生を生きることを決めていた芭蕉は、次の目的地として伊勢神宮を選びました。奥の細道のルートを辿り、全国にある芭蕉ゆかりの地を訪れ、芭蕉が感じた「不易流行」をぜひ皆さんも感じ取ってみてください。

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